私たち夫婦は、結婚してから2年後に一人娘を授かりました。
夫はそれはもう、誰よりも子煩悩で、誰よりもたくさん、本気で子供と遊ぶお父さんでした。私が子育てに行き詰まらなかったのは、間違いなく今ならイクメンと言われる夫のおかげでした。
娘もパパが大好き!たまに私が習い事の仲間と飲みに出ても、娘はニコニコで「いってらっしゃ~い」。パパといれば怒られることもなく遊べるからです。
小学高学年になってくるとだんだん娘はパパよりお友達と遊ぶようになり、そうなると夫は近所の子供たちと遊びだしました。あれがストレス解消にもなっていたのでしょうね。
平日午後3時くらいに子供たちが夫をお迎えにピンポンしてくることもあったぐらいです。あの時は笑いました。
一昨年の秋くらいから遊ぶ余裕もなくなってきたようで、そうなると子供たちも察してきます。「おじさん遊ぼう!」と声もかからなくなってきました。
遊ぶ余裕もないけど声を掛けられないのも寂しい。そんな感じでした。
3年前に娘が巣立ち一人暮らしをし始めたので、私たち夫婦は21年ぶりに二人きりの生活に戻りました。娘中心の生活が終わり、またもとに戻るだけなのですけどね。会話一つにしてもどうなるんだろう・・と、不安?期待?いろいろ入り混じった気持ちでの新生活でした。
あまり共通の趣味がなく、唯一共通の好きなことは温泉に行くことでした。近所にいい感じの温泉があり、二人でよく行きました。
たまに映画を一緒に見たり。お料理したくない時はお気に入りのうどん屋へ。お店の味の意見が合うとちょっと楽しかったり。
私はお酒が大好きで、本当は一緒に晩酌して、一日のことをいろいろ話すことが二人の生活で一番したかったことでした。でも夫はお酒が好きではなかったのです。その夢はだいぶ前にあきらめてましたが、結構それが不満でいたわけです。
でもこうしてみたら、晩酌出来ない分、他のことを一緒にしてたんですよね。
望みが叶わなかっただけではなかったのにね。
そんな不満を抱えながらも、ちょっと一緒に笑えることがあったりすると「こうやって二人で歳とっていくのも、まあ悪くないかも」と、だんだんと思えるようになってきていた二人での生活でした。
振り返れば25年の結婚生活のうち、二人でいたのはたった4年だけ。
これからも二人の生活がずっと続くと信じて疑わなかった。
これからまだまだお料理を進化させたかった。二人でキャンプもしたかった。旅行ももっと一緒に行きたかった。新しい共通の楽しみも見つけたかった。もっともっと一緒に笑いたかった。
去年の5月20日でそれは叶わなくなってしまった。
悲しいし もう会えないと思うと淋しい 底なしの寂しさの沼
でも、パパちゃんが今、苦しさから解放されて自由になったのだとしたら、私の悲しさ、寂しさなんて、取るに足らないことだと思う。
ずっとずっと苦しくて、それでも家族の為にここまで踏ん張ってくれて、ぎりぎりまで頑張ってくれて。
パパちゃん、本当にありがとうね。
泣かなくなるのにはもう少し時間がかかるけど、なるべくパパちゃんに心配かけることがないようにしたいと思ってるよ。
もうすぐ季節はひとめぐり。